ウ゛ウ゛ウ゛・・・








2月28日土曜  昼過ぎ






都内NHKスタジオ4階廊下に携帯のバイブ音が響いた。

















ピッ



「はい。あ、香取くん?」



まだ真新しい廊下の手すりに沿うようにして歩いていた藤原は、

電話先の相手に若干驚きの声をあげた。






「今収録中じゃないんすか?

あ、はい、俺は今さっき終わって今からそっちに向かってますけど」









ひとつめの曲がり角を曲がり、下へ降りるための階段に向かう。









タン、タン、タン・・・









静かな廊下に藤原の足音が響き、






「・・・は?来ない方がいいって・・・。何かあっ」






ブツッ、







そこで電話が途切れた。






原因はこっちの携帯。






そしてその携帯を今手にしているのは・・・









「・・・耕史くん」






藤原は目を見開き、

まさに今自分から携帯を取り上げ、しかも勝手に切った相手を見上げた。



いつの間に後ろにきていたのだろうか。






(・・・全っ然気付かなかった・・・。気配無え!)





心中穏やかでないものを感じつつも、

携帯を取り返そうと手を伸ばすと、







「仕事お疲れ。男から見ても可愛い藤原クンvv」






満面の笑みで、そう言われた。






面食らった表情をする藤原をよそに

山本はにこにこと手の中の携帯を弄ぶ。






「随分可愛がられてたじゃん。土曜スタジオパーク♪」






「・・・・・・;!!み、見てたんすか・・・」







「勿論。共演者が番組宣伝してくれてるんだから、

ねv男から見ても可愛い藤原クンvv」






やたらと繰り返すその言葉に藤原がむっとした顔をする。





「やめてくださいよっ、その変な呼び方」





「事実だろ?天下のNHKのキャスターが言うんだぜ?

・・・さて」





そこで1トーン声を低くした山本は

腰を屈め、藤原の耳元の髪を指で掻き上げ、






「なあ竜也」





「・・・っ、はい」






「ちょーっと付き合ってもらおうかなー」





途端明るい調子で

そう言って藤原の腕をぐいぐい引っ張っていく。





「えっ、ちょっ、耕史くんっ、今から収録っ・・・」





「いいから黙ってついて来い!

お前にゃ言っとかなきゃなんねえことが山ほどある!」





「んなの、後からでもいいじゃないっすか!」





「うるせえ!

だいたいたかが番宣で何へらへら愛想振り撒いてんだよ!」





「なっ・・・!真顔で番宣しろっつーんですか!」





「あんなのよりはマシだ!」






「なっ、な・・・っ!」





「お前テレビでもう笑うな!」





「・・・っ!?」





(逆ギレだーーー;!!)





心の中で悲鳴を上げながらも

必死に抵抗していた藤原だったが、





「ちょっ、耕史くんっ、マジ・・・っ!っわ、うわあ!?」





ドサッと投げ込まれたのは、

クイズ番組の小道具等をしまっておく倉庫。





「・・・」




入り口に立つ山本は、床に転がる藤原を見下ろす。





声も無く見上げる藤原の耳に無情にも錠の落ちる音が届いた。





「・・・さて竜也」







































「あれ、香取さん、何してるんですか?」










収録を終えたらしいオダギリの見つめる先、

椅子に腰掛け、頭を抱える香取の姿があった。





「手遅れだったか・・・」





ぼそりと呟いた後、静かに手を合わせた。・・・合掌。










END.




土曜スタジオパーク生収録後のこと。 だってアナウンサーさんたち竜也くんのこと 「可愛い可愛い」言い過ぎ!! しまいにゃ「男から見ても可愛いですよね」なんて熱っぽい瞳で見つめて!!! 何やってんだあんたらーーー!!仕事しろーーーーー!!羨ましいがーーーーーーー!!(おい) また竜也くんが笑う笑う・・・!! あの笑顔にノックアウトされない視聴者がいようか!いやいまい!! 犯罪だぜありゃ・・・。

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